大判例

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大阪高等裁判所 昭和25年(う)2939号 判決

論旨は判示第一の(一)(1)の浜松覚関係同(三)の下田英夫関係同(四)の住田与四郞関係同(五)の細川袖良関係の金銭の授受はいずれも被告人の職務を離れた単純な個人間の貸借であると云い、事実誤認ないしは証拠不備を主張するのである。刑法第百九十七条の収賄罪は公務員又は仲裁人がその職務に関し違法な利益を収受したときに成立するのであるが、職務に関する違法な利益すなわち賄賂性の有無は利益授受者双方の「職務に関する貸与ではない」と云うような片言雙句によつてその存否を認定するものではなく、公務員の職務内容、その職務と利益供与者との結びつき、双方の特殊な関係の存否、利益の多寡、授受の経過等諸般の客観的事情に照し合理的に判断すべきものである。ところで原判決挙示の証拠によれば「被告人は兵庫地方経済調査庁経済調査官として経済法令に関する違反行為の調査等の職務に従事していたものであるところ、前記浜松覚外三名の関係する会社又は個人の営業所にその取扱商品に関する違反行為の調査に赴き、初めて同人等を知つたものであるが、その調査の結果について未決裁の間に早きはその直後遅くとも一、二箇月後に再び同人等を訪れ金借方を申入れ、五千円ないし数万円を借受けた」と云うのであるから、この客観的事実に照らし、職務をはなれた特殊な関係なくして授受された金員に賄賂性を認めるのは当然であつて常識上容易に首肯されるのである。そして所論のように借用証を差入れたとか借用金全部を弁済したとか云う事実だけではこの賄賂性を否定することはできない。原判決には少しも所論のような違法はなく論旨は理由がない。

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